日本・中国・韓国における、「親から子への教え」に関するエッセイを読んだことがある。
日本人はこどもに対して「人に迷惑をかけるな」と言って育てるが、それは中国、韓国では全く異なる。
中国人は「人に騙されるな」と教え、韓国人は「人に負けるな」と教えるという。
この違いが大人になって仕事上のタフな交渉に影響する、というエッセイストの指摘にはなるほど、と思った。
そして、この子供への教えの話には、インド人の続編がある。
日本人は“他人への配慮を欠かさぬよう”、「人に迷惑をかけるな」と教えるが、インド人は、「あなたは周りに迷惑をかけて生きているのだから、同じように誰かに迷惑をかけられても許してあげなさい、そして感謝の気持ちを忘れないように」と教える。
インド人の教えが最も素晴らしいとも感じるけど、他人を思いやる気持ちがベースになっている点では日本人とインド人の教えは相通じるものがあると思う。
さて、タイ人の場合はどうなのだろう。ここからは私の勝手な想像。
仮説1 「人に謝るな」?
タイ人は謝らない、とタイに住む日本人から聞く。私のタイ語テキストにも、「ロッ(ト)ティッ(ト) ニー」⇒「(訳)渋滞していたので・・(言い訳する)」、と書いてある。先日、水廻りの修理のため、タイ人メカニックが約束時刻に2時間遅れて家にやってきた。玄関口での挨拶で私に、「ロッ(ト)ティッ(ト) ニー」と言った。
「ロッ(ト)ティッ(ト) ニー」をリアルに聞くことが出来た私は、散々待たされて腹が立つでもなく、何だか可笑しかった。
仮説2 「深く考えるな」?
日本のサービス業だと「確認してまいります、少々お待ちください」となるところ、タイだとそうはならない。「そうだよ(多分)」とか「できるよ(と思う)」で終わり。聞いた自分が悪かったと諦めるしかない。何事もマイペンライ、日本人の感覚からすると戸惑う毎日。。
タイ人の良い点を挙げると、相手との距離感を一気に近づける屈託のない笑顔。そういう人たちに囲まれて育つと自然と備わっていくのだろうか。息子が通うサッカークラブでも、タイ人の子供達はみんな素敵な笑顔で私に手を合わせて挨拶してくれる。
微笑みの国タイ、タイ人の親から子への教えは、「敵を作るな」が正解かもしれない。